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個人の再生債務者の不動産任意売却の登記 [不動産登記]

個人の再生手続きが開始している案件で、個人の再生債務者が不動産を任意売却し、その所有権移転等の登記手続きをする場合における登記申請書の添付情報で少し悩みました。

再生債務者は、一般的には所有不動産の管理処分権限を失わないことから、再生債務者自身が登記申請人になります(管財人が選任されていないケース)。
この点、再生債務者が法人の場合は、再生債務者の会社登記事項証明書を取得することにより、再生手続きが開始されていること、監督委員が選任されていること、監督委員の同意を要する行為が分かります。

このため、会社が再生債務者である場合、通常は監督委員の同意書と監督委員の選任(印鑑)証明書を登記申請書の添付情報として提供し、登記官は会社登記事項とこれら添付情報を照らし合わせて審査をするものと思います。
ところが、再生債務者が個人である場合、会社と異なり、再生手続きが開始されていることはもちろん、監督委員の選任の有無、監督委員の同意を要する行為などを公示する場所がありません。

ところで、破産債務者の場合ですが、最近は不動産登記記録から破産手続きが開始されていることは分かりませんが、破産債務者は所有不動産の管理処分権限を失っていますので、裁判所の許可書、破産管財人の選任(印鑑)証明書などを提供し、破産管財人から登記申請をしています。
これと同じように、個人の再生債務者の場合も、不動産登記記録からは再生手続きが開始されていることは分かりませんが、監督委員の同意書と監督委員の選任(印鑑)証明書を提供し、再生債務者から登記申請をすることも考えられます。

しかしながら、登記官の立場で考えますと、再生債務者が所有不動産の管理処分権限を失っているのかいないのかは不明(管財人の選任の有無が不明)ですし、どのような行為が監督委員の同意事項になっているかも分かりませんので、ただ監督委員の同意書等を提供されたとしても、それだけで適式に審査することが難しいのではないかと考えました。

このため、今回は、所有不動産の担保権の受け戻しと処分が監督委員の同意事項であることを再生債務者の代理人に確認し、そのうえで監督委員の同意書と監督委員の選任(印鑑)証明書の原本の提供を受け、登記申請書の添付情報としてはこれら同意書等は提供せずに登記申請をしました。

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2021-10-22 18:00  nice!(0) 
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法定相続登記後の遺産分割による移転登記 [不動産登記]

いわゆる法定相続登記がなされた後に遺産分割協議が整った場合、遺産分割を原因として持分移転登記を申請することになると思います。

ところで、法定相続人間の遺産分割協議が成立する前に、法定相続人の一人が死亡したとしても、他の法定相続人と死亡した法定相続人の権利義務承継者により遺産分割協議をすることが可能です。

今回、法定相続登記がなされ、そのうちの一人が死亡し、さらにその後に遺産分割協議が成立したのですが、どのような手順で登記申請をすべきか、少し悩みました。

悩んだのは、死亡した法定相続人について法定相続登記をすることなく、遺産分割を原因として持分移転登記申請をするのか、死亡した法定相続人について法定相続登記をしたうえ、遺産分割を原因として持分移転登記を申請するのかという点です。

やはり死亡した法定相続人について法定相続登記を経由すると、部分的に実態と異なる公示となるのではないかと考え、死亡した法定相続人についての法定相続登記は申請せず、遺産分割を原因とする持分移転登記を申請しました(死亡した法定相続人はその権利義務承継者による申請)。

特に問題なく登記が完了しましたので、この方法で良かったようです。

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2021-10-15 18:00  nice!(0) 
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