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共有者の一人からの相続登記申請 [不動産登記]

共有持分を取得した共同相続人の一人から相続登記申請をすることは可能です。

ネットなどを検索すると、いわゆる法定相続登記の場合にできる旨の記述ばかりですが、遺産分割協議や遺言により法定相続分とは異なる共有持分を取得することになった場合でも、その共有持分を取得した共同相続人の一人から相続登記は可能とされています。

例えば、共同相続人がA、B、Cであり、遺産分割協議(又は遺言)で、とある不動産につき、Aが持分3分の2、Bが持分3分の1を取得することになった場合、Bのみが申請する、A持分3分の2、B持分3分の1とする相続登記は受理されます(登記研究553/134頁)。

実際、遺言のケースで地元も登記所に申請しましたが、問題なく完了しました。

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2025-02-06 18:00  nice!(0) 
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取扱店の登記(●●法人部) [不動産登記]

最近は取扱店の表示をする登記の依頼が少なくなりました。
久しぶりに大きな銀行の担保権設定登記の依頼があり、その取扱店として●●法人部と記載されていました。

過去の登記研究などの資料を調べてみますと、
〇そもそも取扱店の表示は執行時などの通知を受領する金融機関のためであること
〇金融機関が●●営業部などを支店として取扱店表示をした場合は受理せざるを得ないこと
などの解説がありました。

今回は●●法人部です。
この法人部も法人営業に関して預金の入出金や融資など全般の取扱いをするようですので、支店と同視できそうでした。

申請してダメと言われると取り返しがつきませんので、資料を添付し理由等を付して照会してみましたところOKでした。
で、問題なく登記も完了しました。

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2024-11-18 18:00  nice!(0) 
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代位による相続登記と代位原因 [不動産登記]

被相続人名義の不動産について競売を申立て、その後に債権者代位で相続登記を申請することがあります。

抵当権の実行による競売のときは特に悩むことはありませんが、マンション管理組合が債権者となって先取特権の実行による競売をするときや、管理費等を請求する判決を得て強制執行するときなどでは、色々と悩むことがあります。

悩みの種は代位原因の表記です。
代位原因証書としては、競売受理証明書が一般的です。
ただ、この競売受理証明書では、競売の申立てを受理したこと及び事件符号から担保権の実行なのか強制執行なのかという情報程度しか分かりません。

このため、代位原因の記載をどうするのかを悩むわけです。
マンション管理組合が区分所有法第7条第1項の先取特権で競売を申し立てる場合の代位原因は「年月日担保不動産申立に係る不動産担保権実行による競売」となるようです(登記所からこのように書いて欲しいと言われました。年月日は競売申立日です)。
マンション管理組合が管理費等を請求する判決を得て強制執行をする場合の代位原因は「年月日管理費等の強制執行」として申請したらそのまま通りました(年月日は判決確定日にしました)。

なお、先取特権の実行の場合、競売受理証明書だけでは先取特権による競売であることは分かりませんが、事件符号で担保権の実行と分かりますので、代位原因証書としては競売受理証明書以外は何も添付しませんでした。
判決による強制執行の場合、競売受理証明書では強制執行であることは分かりますが、代位原因に関する情報は何もありませんので、競売受理証明書のほかに、判決正本と確定証明書のコピーを参考資料として添付してみたら、そのまま通りました。

ちなみに、マンション管理組合の代表者の資格証明書としては、いつも管理組合理事長の自己証明書(管理組合の名称と所在、代表者の住所と氏名、代表者の任期)に理事長選出時の総会議事録コピーを合綴したもののみを提出しています。何か所かの登記所で問題なく通っています(裁判所などで使う他の理事による証明書は登記所で使ったことがありませんが、それでも良いのかも知れません)。

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2024-09-25 12:06  nice!(0) 
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清算型遺言による売買登記 [不動産登記]

いわゆる清算型遺言による登記は、ネットでも色々ととり上げられています。

前提の法定相続登記もその後の売買登記も遺言執行者により登記申請が可能です。
これらは同時に申請せず、別々に申請しても問題ありません。
また、相続登記の際には、登記識別情報が遺言執行者に通知されます(みなし提供とならない申請方法の場合、売買登記の際に使用します)。

ところで、法定相続後に遺言執行者から売買登記を申請する際、登記名義人である法定相続人に関する書類は一切提供しません。
登記名義人に住所異動などがあった場合はどうなるのか少し気になっていますが・・・

売買登記の申請書の添付書類としては、通常の売買登記に提供する書類のほか、
〇遺言書
〇遺言者の除籍謄本(代理権限証明情報なので発行後3か月以内のもの)
〇必要に応じて遺言者の戸籍の附票など(代理権限証明情報なので発行後3か月以内のもの)
です。
なお、登記義務者の印鑑証明情報や委任状は遺言執行者のものとなります。

登記原因証明情報は、色々な作成方法があると思いますが、私の場合は次のようにしてみました。
〇遺言者が「遺言者の有する財産の全部を遺言執行者をして換価処分させ、その換価代金から遺言者の一切の債務を弁済し・・・・残金を〇〇〇〇に遺贈する」旨の遺言をした。
〇遺言者は、令和〇年〇月〇日に死亡したので、遺言執行者により、本件不動産につき令和〇年〇月〇日受付第〇〇号をもって、甲、乙及び丙の共有持分各3分の1とする相続による所有権移転登記がなされた。
〇遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、登記義務者の代理人として、令和〇年〇月〇日、登記権利者に本件不動産を売った。
〇本件売買契約には、本件不動産の所有権は売買代金の支払いが完了したときに登記権利者に移転する旨の所有権移転時期に関する特約が付されている。
〇登記権利者は、遺言執行者に対し、令和〇年〇月〇日、売買代金の全額を支払い、遺言執行者は、これを受領した。
〇よって、本件不動産の所有権は、前記同日、登記義務者から登記権利者に移転した。

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2024-09-09 13:37  nice!(0) 
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住宅・都市整備公団の買戻権抹消 [不動産登記]

古い買戻権が残っていることがあります。
従来は、買戻権者に連絡して・・・と面倒な手続きが必要でしたが、買戻特約付の売買契約の日から10年を経過している場合、不動産登記法第69条の2の規定により、登記権利者が単独で買戻権の抹消登記を申請することができることになりました。

ところで、買戻権者が住宅・都市整備公団の場合、登記義務者としてどのように表記するかが問題になります。
なぜなら、住宅・都市整備公団の権利義務は、都市基盤整備公団に承継され、さらに現在は独立行政法人都市再生機構に承継されているためです。

この点、登記権利者による買戻権の単独抹消登記は、添付書類が不要(代理申請の場合は委任状のみ)であり、登記義務者に関する書類はそもそも不要です。
このため、登記申請書の登記義務者は、登記記録そのままの住宅・都市整備公団を表記し、代表者の記載も不要で良い筈です。

実際、このような形で申請してみましたが、登記所からは特に何も連絡なく完了しました。

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2024-08-08 10:54  nice!(0) 
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遺産分割調停と相続分譲渡 [不動産登記]

被相続人Aに相続が開始した後、さらにその相続人B及びCにそれぞれ相続が開始し、Bの相続人が甲及び乙、Cの相続人が丙及び丁である場合において、丙及び丁がその相続分を甲に譲渡し、甲及び乙の遺産分割協議で甲が不動産を取得することになった際の登記申請方法はどうなるかです。

単純に、〇年〇月〇日B相続、〇年〇月〇日相続を原因として、被相続人Aから甲への相続による所有権移転登記ができれば簡便です。

ところが、平成4年3月18日民三第1404号民事局第三課長回答によるならば、
1 AからB及びCへの相続による所有権移転登記
2 Bから甲及び乙への相続による持分全部移転登記
3 Cから丙及び丁への相続による持分全部移転登記
4 甲及び丙・丁の共同申請により相続分の贈与(又は売買)による持分全部移転登記
5 甲及び乙の共同申請により遺産分割による持分全部移転登記
を申請する必要がありそうです。

上記のような単純な事例でしたら何とかなりそうですが、相続が3回も4回も発生し、相続関係者が100人近くとなるようなケースにおいて、上記のような手順を採るとなれば、もう相続登記をあきらめざるを得なくなります。

それでは、これを遺産分割調停の手続きの中で行った場合はどうでしょうか。

調停調書に
〇被相続人の各相続人を確認する条項がある。
〇各相続人の再転相続人(広義の意味)を確認する条項がある。
〇再転相続人が相続分の譲渡をしたことを確認する条項がある。
〇相続分譲渡者が相続分譲渡により手続きから排除(家事事件手続法第43条)されたことを確認する条項がある。
〇遺産取得者を確認する条項がある。
場合、調停条項上では、いったんは相続関係者全員が遺産分割調停に参加したうえ、それぞれ相続分譲渡(脱退申出)をして手続きから排除されているので、実質的には遺産分割協議の中で遺産を取得しないと意思表示をしたものと考えられ、よって相続による所有権移転登記(上記の例では、〇年〇月〇日B相続、〇年〇月〇日相続を原因とするAから甲への所有権移転登記)をすることができると考えました。

色々と意見を添えて登記所に照会をかけましたところ、照会のケースでは数次相続の中間省略登記が可能でしたので、被相続人から最終相続人に相続による所有権移転登記を申請が可能となり、その登記も完了しました。

相続登記未了の案件で相続人の数が膨大になった場合、ある程度は便宜的な登記手法を容認してもらえないと、相続分譲渡などの手法を駆使し、さんざん努力し合意しても、結局、その登記ができないということになってしまいます。

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2023-12-01 11:00  nice!(0) 
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始期付所有権移転仮登記の受贈者の死亡 [不動産登記]

始期付所有権移転仮登記がなされているところ、死因贈与契約の受贈者が贈与者より先に死亡した場合の登記手続きにつき悩みました。

死因贈与契約に民法第994条第1項が準用されれば死因贈与契約は失効しますし、準用されなければ死因贈与契約は失効しません(受贈者の相続人が地位を承継)。

東京高裁の平成15年判決では準用を肯定し、京都地裁の平成20年判決と水戸地裁の平成27年判決は準用を否定しています。最高裁の判例はありません。

そうしますと、登記手続きの場面においては、どちらの考え方も否定されない筈ですので、当事者の意思がどうであったかと探りました。
残念ながら亡くなった受贈者の意思は不明ですが、その後に亡くなった贈与者の遺言の中に、死因贈与契約は失効している旨の記載がありましたので、民法第994条第1項の準用肯定説で登記手続きを準備しました。

問題は、始期付所有権移転仮登記を抹消する登記申請です。
今回は、受贈者の死亡日付権利失効を登記原因とし、登記原因証明情報は受贈者の死亡と贈与者が当時生存していたことを証する戸籍(除籍)謄本としました。

もちろん事前照会をかけて申請しましたが、この登記は無事に完了しました。

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2023-09-25 18:00  nice!(0) 
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社会福祉法人の抵当権設定登記 [不動産登記]

社会福祉法人が債務者兼抵当権設定者として抵当権設定登記を申請する場合、通常と異なる書類の提供が必要になりそうな気がします。

社会福祉法人が所有する財産を担保に供する際、厚労省が定めるモデル定款に準拠した定款の規定に従い、所管庁の承認が必要となります(根抵当権は承認されないようです)。
このため、抵当権設定登記を申請する場合において、この所管庁の承認書の提供が必要になるのではないかという点が疑問となります。

この類似例として、宗教法人が所有する不動産の処分による所有権移転登記の申請の際、当該宗教法人の包括団体たる宗教法人の代表役員の承諾が必要であったとしても、その承諾書は不動産登記法第35条第1項第4号(不動産登記令第7条第1項第5号ハ)の書面に該当しないという先例(昭和39年8月7日民甲第2732号民事局長回答)があります。

この先例を踏まえますと、社会福祉法人の上記所管庁の承認書も同様に不動産登記令第7条第1項第5号ハの書面には該当しないと考えられます(実際、不要でした)。

契約そのものに承認・承諾が必要ということではなく、契約するにあたって内部的にクリアにする条件ということなのでしょうか。

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2022-07-14 18:00  nice!(0) 
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会社合併時の1株に満たない端数処理 [会社登記]

会社の合併登記で合併消滅会社の株主に合併存続会社の株式を割当てる案件がありました。
計画の初期から関与する場合には株式分割をするなどして端数が生じないようにすることがありますが、そうでない場合には端数処理が必要になることがあります。
端数処理につきましては、会社法第234条に規定があります。

今回登記申請をした案件は次のようなイメージです。
合併消滅会社の株主は、Aが80株、Bが40株、Cが30株であり、合併消滅会社の株式1株に対して合併存続会社の株式が5.83株割当てられます。
そうしますと、
Aには、80株×5.83=466株(端数0.4株)
Bには、40株×5.83=233株(端数0.2株)
Cには、30株×5.83=174株(端数0.9株)
の計算となり、合併消滅会社の株主には、合計873株が割当てられます。

この場合において、合併存続会社は、株式を873株発行することになるのか、端数1.5株があるので、874株を発行することになるのかが問題になります。
今回、合併契約書で874株を発行すると記載して登記申請をしましたところ、登記所から連絡があり873株ではないのかと疑問を呈されました。

株式の端数処理は会社法第234条の規定に従いますので、合併存続会社は874株を発行し、合併消滅会社の株主に873株を割当てたうえ、端数の1.5株のうちの1株(端数を合計した後の1株未満は切り捨て)は競売や裁判所の許可による売却(市場価格ない場合)をすることになりますので、874株を発行しなければ競売や売却等をする(その後は端数に応じて代金を交付する)株式が存在しないことになってしまいます。

いずれにしましても登記所からの電話はかなり焦ります。

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2022-03-08 18:00  nice!(0) 
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抵当権の債務者の相続登記 [不動産登記]

民法改正があり債務引受に関する登記実務にも少し変化があります。
最近、抵当権の債務者の相続登記の依頼が重なり、債権者が遺産分割協議による債務相続を承認する形での登記と債務引受契約による形での登記の双方を経験しました。
登記原因証明情報の作成から依頼されましたので、少し文言を検討して次のとおり準備しました。

遺産分割協議の結果を承認する形・・・
登記の原因となる事実または法律行為
(1)令和〇年〇月〇日、本件不動産に設定登記済みの平成〇年〇月〇日〇〇地方法務局〇〇出張所受付第〇〇〇〇〇号の抵当権(以下「本件抵当権」という)の被担保債権の債務者〇〇〇〇は死亡した。
(2)債務者である被相続人〇〇〇〇の相続人は、次のとおりである。
   〇〇市〇〇区〇〇一丁目〇番地〇 甲
   〇〇市〇〇区〇〇一丁目〇番地〇 乙
(3)令和〇年〇月〇日、上記の相続人は、本件抵当権の被担保債務を甲が相続する旨の遺産分割協議を成立させた。
(4)令和〇年〇月〇日、債権者株式会社〇〇銀行は、上記の遺産分割協議の内容を承諾した。また、前記同日、抵当権設定者たる登記義務者もこれを承諾した。
(5)よって、本件抵当権の債務者は、被相続人〇〇〇〇の相続開始日である令和〇年〇月〇日に甲に変更された。

債務引受契約をする形・・・
1 債務者相続
(1)保険不動産に設定登記済みの抵当権(平成〇年〇月〇日〇〇地方法務局〇〇出張所受付第〇〇〇〇〇号登記済、以下「本件抵当権」という)の被担保債権である平成〇年〇月〇日付金銭消費貸借契約に基づく債務の債務者〇〇〇〇は、令和〇年〇月〇日に死亡した。
(2)債務者〇〇〇〇の相続人は、次のとおりである。
   〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 甲
   〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 乙
(3)よって、本件抵当権の債務者は、債務者〇〇〇〇の相続開始日である令和〇年〇月〇日、上記の甲及び乙に変更された。

2 債務引受
(1)本件不動産に設定登記済みの抵当権(平成〇年〇月〇日〇〇地方法務局〇〇出張所受付第〇〇〇〇〇号登記済、以下「本件抵当権」という)の被担保債権である平成〇年〇月〇日付金銭消費貸借契約に基づく債務につき、債権者株式会社〇〇銀行、債務者兼債務引受人甲、債務者乙は、令和〇年〇月〇日、乙の株式会社〇〇銀行に対する債務について、甲がこれを免責的に引き受ける旨の免責的債務引受契約を締結した。
(2)上記(1)の約定において、債権者株式会社〇〇銀行は、債務引受人甲に対し、本件抵当権を甲が引き受けた債務に移す旨の意思表示をするとともに、債務引受人兼抵当権設定者甲は、本件抵当権の債務者が甲に変更されることに合意した。
(3)よって、前記同日、本件抵当権の債務者は甲に変更された。

少しくどい点もありますが、一応登記は通りました。

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2022-03-06 18:00  nice!(0) 
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