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会社合併時の1株に満たない端数処理 [会社登記]

会社の合併登記で合併消滅会社の株主に合併存続会社の株式を割当てる案件がありました。
計画の初期から関与する場合には株式分割をするなどして端数が生じないようにすることがありますが、そうでない場合には端数処理が必要になることがあります。
端数処理につきましては、会社法第234条に規定があります。

今回登記申請をした案件は次のようなイメージです。
合併消滅会社の株主は、Aが80株、Bが40株、Cが30株であり、合併消滅会社の株式1株に対して合併存続会社の株式が5.83株割当てられます。
そうしますと、
Aには、80株×5.83=466株(端数0.4株)
Bには、40株×5.83=233株(端数0.2株)
Cには、30株×5.83=174株(端数0.9株)
の計算となり、合併消滅会社の株主には、合計873株が割当てられます。

この場合において、合併存続会社は、株式を873株発行することになるのか、端数1.5株があるので、874株を発行することになるのかが問題になります。
今回、合併契約書で874株を発行すると記載して登記申請をしましたところ、登記所から連絡があり873株ではないのかと疑問を呈されました。

株式の端数処理は会社法第234条の規定に従いますので、合併存続会社は874株を発行し、合併消滅会社の株主に873株を割当てたうえ、端数の1.5株のうちの1株(端数を合計した後の1株未満は切り捨て)は競売や裁判所の許可による売却(市場価格ない場合)をすることになりますので、874株を発行しなければ競売や売却等をする(その後は端数に応じて代金を交付する)株式が存在しないことになってしまいます。

いずれにしましても登記所からの電話はかなり焦ります。

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2022-03-08 18:00  nice!(0) 
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抵当権の債務者の相続登記 [不動産登記]

民法改正があり債務引受に関する登記実務にも少し変化があります。
最近、抵当権の債務者の相続登記の依頼が重なり、債権者が遺産分割協議による債務相続を承認する形での登記と債務引受契約による形での登記の双方を経験しました。
登記原因証明情報の作成から依頼されましたので、少し文言を検討して次のとおり準備しました。

遺産分割協議の結果を承認する形・・・
登記の原因となる事実または法律行為
(1)令和〇年〇月〇日、本件不動産に設定登記済みの平成〇年〇月〇日〇〇地方法務局〇〇出張所受付第〇〇〇〇〇号の抵当権(以下「本件抵当権」という)の被担保債権の債務者〇〇〇〇は死亡した。
(2)債務者である被相続人〇〇〇〇の相続人は、次のとおりである。
   〇〇市〇〇区〇〇一丁目〇番地〇 甲
   〇〇市〇〇区〇〇一丁目〇番地〇 乙
(3)令和〇年〇月〇日、上記の相続人は、本件抵当権の被担保債務を甲が相続する旨の遺産分割協議を成立させた。
(4)令和〇年〇月〇日、債権者株式会社〇〇銀行は、上記の遺産分割協議の内容を承諾した。また、前記同日、抵当権設定者たる登記義務者もこれを承諾した。
(5)よって、本件抵当権の債務者は、被相続人〇〇〇〇の相続開始日である令和〇年〇月〇日に甲に変更された。

債務引受契約をする形・・・
1 債務者相続
(1)保険不動産に設定登記済みの抵当権(平成〇年〇月〇日〇〇地方法務局〇〇出張所受付第〇〇〇〇〇号登記済、以下「本件抵当権」という)の被担保債権である平成〇年〇月〇日付金銭消費貸借契約に基づく債務の債務者〇〇〇〇は、令和〇年〇月〇日に死亡した。
(2)債務者〇〇〇〇の相続人は、次のとおりである。
   〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 甲
   〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 乙
(3)よって、本件抵当権の債務者は、債務者〇〇〇〇の相続開始日である令和〇年〇月〇日、上記の甲及び乙に変更された。

2 債務引受
(1)本件不動産に設定登記済みの抵当権(平成〇年〇月〇日〇〇地方法務局〇〇出張所受付第〇〇〇〇〇号登記済、以下「本件抵当権」という)の被担保債権である平成〇年〇月〇日付金銭消費貸借契約に基づく債務につき、債権者株式会社〇〇銀行、債務者兼債務引受人甲、債務者乙は、令和〇年〇月〇日、乙の株式会社〇〇銀行に対する債務について、甲がこれを免責的に引き受ける旨の免責的債務引受契約を締結した。
(2)上記(1)の約定において、債権者株式会社〇〇銀行は、債務引受人甲に対し、本件抵当権を甲が引き受けた債務に移す旨の意思表示をするとともに、債務引受人兼抵当権設定者甲は、本件抵当権の債務者が甲に変更されることに合意した。
(3)よって、前記同日、本件抵当権の債務者は甲に変更された。

少しくどい点もありますが、一応登記は通りました。

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2022-03-06 18:00  nice!(0) 
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