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過払金請求と悪意の受益者 [裁判事務]

先般,最高裁で悪意の受益者推定の新しい判例が出ました。これから,過払金請求をするときに,一つの論点が加わることになりそうです。

平成18年1月に,最高裁は,期限の利益喪失約款がある契約において,利息制限法の利率を超過する利息部分の支払いの任意性を否定したため,基本的に過払金請求をするときに相手方の悪意性が推定され,過払金に5%の利息を付して請求することが容易になりました。

今回の判例は,この平成18年の判例が出現するまでの間は,期限の利益喪失約款がある契約の支払いの任意性を否定する最高裁判例はなく,下級審においても同旨の判例がほとんどなかったことから,平成18年の判例が出るまでの期間については,期限の利益喪失約款がある中での支払いであると言うだけの理由で,相手方の悪意性を推定することはできないとしました。

そうすると,今後,この平成18年の判例が出現するまでの間,いわゆる「みなし弁済」の支払いの任意性の要件部分以外の成立を立証すれば,過払金に利息を付することができないということになります。

論点が一つ増えてしまうので,過払金の回収が面倒になる可能性がありますが,まぁ,平成18年の判例以後は今までと同じですので,実務ではあまり大きな影響もないとも言えそうです。

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2009-07-12 18:00  nice!(0) 
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