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過払金の計算方法 [裁判事務]

過払金を計算する場合,いくつかの計算方法があるようです。
過払金が発生していると,その後の借入金債務に充当することになりますが,この借入金債務に充当できるのは,過払金元金のみなのか,過払金の利息も充当することができるのかという問題です。

ここでは,新たな借入金債務に充当できるのが過払金元金だけである場合をAパターン,充当できるのが過払金元金及び利息である場合をBパターンとします。

過払金を計算してみますと,Bパターンの方が請求額(元金+利息)が多くなり,Aパターンの方が少なくなります。このため,多くのサラ金会社はAパターンで計算するべきで,Bパターンで計算する根拠は無いのだと主張してきます。

Bパターンで計算する根拠を考えてみましたが,色々な考え方もあるようですから,私の場合は次のように反論しています。

☆利息の元本充当☆
①一般に,一定の限度額の範囲で借入と弁済を繰り返して行う「基本契約」に基づく取引の「弁済」は,貸付ごとに個別的な対応関係をもって行われることが予定されず,この「基本契約」に基づく借入金の全体に対して行われるものなので,このような「基本契約」には,過払金が発生した場合,その後に発生する新たな借入金債務に充当する合意,いわゆる「過払金充当合意」を含むと解することができる(最高裁第3小法廷平成21年3月3日判決,最高裁第2小法廷平成21年3月6日判決)。
②そして,この過払金充当の合意には,新たな借入金債務が発生した場合,その過払金だけを当該借入金債務に充当し,その時までの利息は別途返還するとの複雑な処理をするのではなく,過払金に対する「利息」も当該借入金債務に充当する旨の合意を含むものと解するのが正当である(東京高裁平成21年11月26日判決)。
③ところで,本件の借入及び弁済は,基本契約に基づき行われ,貸付ごとの個別的な対応関係は存在しないので,本件の基本契約は,発生した過払金及び利息をその後に発生する新たな借入金債務に充当する「過払金充当合意」を含む契約と解することができる。
④そうすると,本件で発生した過払金及び利息は,民法第491条第1項を類推し,利息,過払金の順序により,新たな借入金債務に充当されることになる。

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2011-06-01 18:00  nice!(0) 
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