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最近驚いた懲戒事例 [裁判事務]

司法書士は法務省管轄の資格です。何か悪いことをすれば,管轄の法務局長(地方法務局長)から懲戒処分を受けます。
司法書士の懲戒事例は,日本司法書士会連合会の会報でも公表されるのですが,先般,この会報を読んでいて驚くべき懲戒事例を発見しました。

簡単に言えば,ある司法書士は,
①この司法書士が代理人になれない訴額の裁判書類の作成業務を受託(書類作成業務は受託できる)し,その報酬として,代理業務と同等の成功報酬を受領した
②さらに,この司法書士は,夫婦の債務整理業務をそれぞれ受任したところ,夫婦の一方の代理人を辞任するべき事情が生じて辞任したのち,他の一方の代理人も辞任した
③さらに,この司法書士は,委任者本人の了解を得て,委任契約に定めない方法で報酬を受領し,報酬受領方法の変更の契約を締結しなかった
ところ,驚くべき理由で懲戒されました。

まず,①の行為ですが,懲戒権者のこの地方法務局長は,書類作成業務につき,依頼者と成功報酬を支払う合意をしたとしても,社会通念上,この契約は相当ではなく,しかも,この契約行為が懲戒処分に相当すると判断しました。
次に,②の行為ですが,懲戒権者のこの地方法務局長は,夫婦の一方の代理人を辞任するべき理由が生じた場合に,夫婦の他の一方の代理人も辞任する行為は正当ではなく,しかもこの行為は懲戒処分に相当すると判断しました。
最後に,③の行為ですが,懲戒権者のこの地方法務局長は,本人の了解を得ていたとしても,当初の委任契約を変更しない限り,当初の委任契約に定める方法で報酬を受領しないと,その行為は懲戒処分に相当すると判断しました。

もう,驚くべき判断です。
法務局は,とうとう委任契約の中にまで入り込み,法務局の基準でない行為・約定については,すべて懲戒処分で臨むことを宣言したようなものです。

今後,日本司法書士会連合会や各司法書士会が,このような懲戒処分を受け容れるのであれば,個々の司法書士はもう安心して仕事ができません。懲戒されるかどうかは,もはや「運次第」と言うことになるでしょう。

↓事務所のHPはこちら↓

http://www.office-iguchi.jp/


2009-06-01 18:00  nice!(0) 
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