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判決による登記と住所変更 [不動産登記]

判決正本等により所有権移転登記を申請する際、登記名義人の住所と判決正本等に表示された被告等の住所が相違する場合、前提として住所変更(更正)登記が必要です。

この場合、代位により登記名義人の住所変更(更正)登記を申請しますが、登記申請書に添付べき住所の変更を証する書面が完全な形で取得できない場合があります。住民票の除票は5年間しか保存していない(5年を超えて保存していても証明書として交付してくれない)からです(自治体によっては5年を超えて保管している除票を証明書として交付してくれるケースもあるようです)。

この場合、私の地域では、取得可能な住民票・戸籍の附票+不在籍・不在住証明書+登記済証を添付して住所変更(更正)登記を申請していますが、代位による住所変更(更正)登記の場合、登記済証の添付は困難です。
登記済証が添付できない場合、何らかの代替手段がないと、判決による所有権移転登記も申請できなくなります。せっかく判決を取得して登記の単独申請が可能であっても、登記義務者に登記申請に協力してもらわなくてはならなくなってしまいます。

そこで、上記の登記済証を添付することで住所変更(更正)登記を受理するのは、申請人が登記済証を所持していることにより、申請人=登記名義人(同姓同名の別人ではない)ことを明らかにする意味で添付する訳ですので、判決正本に被告の現住所と登記記録上の住所が併記されていれば、その判決正本によって申請人=登記名義人(同姓同名の別人ではない)ことが明らかとなりますので、登記済証の代わりに判決正本を添付すれば良いと考えました。

念のため登記所に照会をかけましたところ、今回のケースの添付書類は、取得可能な住民票・戸籍の附票、不在籍・不在住証明書、判決正本・確定証明書でOKとなりました。

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2016-04-07 18:00  nice!(3) 
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現況が墓地の登録免許税 [不動産登記]

登記記録上の地目が宅地ですが現況が墓地のため、固定資産税の評価額が無い土地の相続登記を申請しました。

登記記録上の地目が宅地であっても、固定資産税の評価上は公衆用道路で評価額が0円の土地については、一般的に宅地価格の30%の価格を課税価格として登録免許税額を計算していると思います。

墓地も公衆道路の場合と同じように、登記記録上の地目が宅地であっても、固定資産税の評価上が墓地であれば、登録免許税法第5条第10号の適用があると思ったのですが、どうも違うようです。

冷静に考えれば、確かに墓地の場合を公衆用道路と同じように考えることは無理でした。

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2015-09-10 18:00  nice!(0) 
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先取特権実行の場合の代位原因 [不動産登記]

区分所有法第7条第1項の先取特権に基づきマンションを競売するにあたり、相続登記を代位申請を行う場合がありますが、この際の代位原因に悩みました。

代位原因証明書は、競売受理証明書になりますが、競売受理証明書の方法からは、その事件番号によって担保権実行による競売であることはわかりますが、区分所有法上の先取特権による実行であることまでの記載はありません。

色々と悩んだ末に、事実に合わせ、年月日区分所有法第7条第1項の先取特権の実行による競売として申請してみましたところ、やはり訂正を求められまして「年月日担保不動産申立に係る不動産担保権実行による競売」ということで落ち着きました。

競売受理証明書の事件番号から不動産担保権実行による競売であることが分かりますので、後段は良いのですが、前段の表現が特徴的です。

この競売は、法人格のない管理組合が申し立てていますので、代位原因以外にも、代位者をどうするのか、代位者の資格を証する書面をどうするのか等の検討事項がありました(この点は、横浜局管内はほぼ統一されているようです。近く東京局でも申請しますので、その後に改めて整理する予定です)。

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2015-06-10 16:00  nice!(0) 
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登録免許税の還付 [不動産登記]

不動産登記申請をした際に、登録免許税の計算を誤り、2万円ほど多く納付してしまいました。

この場合、過納付分は還付されるのですが、最近では代理人が簡易に還付金を受領できるようになりました。簡易にというのは、登記申請の際の委任状に「登記にかかる登録免許税の還付金の受領に関する権限」という文言があれば、還付金を受領する際に別途委任状を提出しなくても良いという意味です。

今回の登記申請書に添付した委任状には、上記の記載をしていましたので、還付申出書を提出するだけでした。

この還付申出書に押印する印鑑ですが、登記申請(登記識別情報受領)に用いている印鑑を押印するのかと思っていたのですが、どうも職印の押印が必要なようです。ただ、職印証明書は添付しませんでしたので、どのような確認が行われるのかは不明です。

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2015-06-08 16:00  nice!(0) 
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登記の際の通称名の使用 [不動産登記]

外国籍の方が日本において通称名を使用することがあります。

登記の際、本国名での登記はもちろん可能ですが、外国人住民票等に通称名が記載されている場合、その通称名で登記することも古い先例で認められています。

一般に、通称名を使用している方は、日本において通称名のみを使用する前提の筈ですので、登記の際には注意が必要で、どちらの名前で登記をするかの確認は欠かせません。

ところで、先般、通称名での登記を希望された方の所有権移転登記と抵当権設定登記を行いました。このため、もちろん通称名で登記をしたところ、抵当権を設定した金融機関から、本国名で登記をしないのはどうしてかとの問い合わせがありました。

上述しましたとおり、通称名を使用する方は、日本国内においては通称名のみを用いて生活することを希望しているものと考えられ、かつ、本人が通称名の使用を希望し、さらに、通称名での登記も認められていますので、当然に通称名で登記をした訳ですが、この金融機関の担当者は、抵当権設定の表記については金融機関の意向が優先されると主張していました。

驚くべき考えです。金を貸すのだから、何でもいうことを聞けという発想です。金融機関はこのような発想をする人が多いように思います。

通称名を使用しての生活を希望しているのに、お金を借りて抵当権を設定してしまったばかりに、本国名の使用を金融機関に強要され、債務者欄の登記によって日本国籍を有しないことを社会に暴露された、などということがあったならば大変な問題です。

通称名での登記が違法であるならばともかく、登記実務上は認められているのですから、抵当権の登記においても、やはり債務者の人格権を尊重し、債務者の意向で選択すべきです(違法でないのですから、金融機関の意向を考慮する必要はないと思います)。

今般、会社の社長が通称名を使用している従業員に対し、本国名の使用を強要した案件で、静岡地裁が社長に対する損害賠償を認める判決をしたたようです。

金融機関のあの担当者には、静岡地裁のこのニュースを見て何と思うでしょうか。何も感じない、気づかないのかも知れません。

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2015-04-24 18:00  nice!(0) 
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和解契約による抵当権設定 [不動産登記]

民法の典型契約である和解契約で合意した債権を担保するために,同和解契約において抵当権設定の約定をした場合の登記原因はどうなるのか考えていました。

債権の発生原因は和解契約ですので,年月日和解契約の年月日抵当権設定になるとして登記申請をしました。ところが,登記所からは,和解契約の中に債務承認条項がある場合は,年月日債務承認の年月日抵当権設定となる旨の指摘がありました。

和解契約の中では,紛争解決のために金銭の支払いが合意される場合があります。金銭の支払い債務を合意する場合,和解書の中に①和解金や解決金の支払い債務の確認条項,②①の債務の支払い方法を定める給付条項を作ることが一般的です。

登記所のいうように,和解契約の中に債務確認条項がある場合,登記原因として和解契約とい文言が使えないならば,抵当権設定の被担保債権で「和解契約」という文言を使う場面はまず登場しなくなります。

これが裁判上の和解であったらどうでしょう。和解調書の和解条項の中に金銭の支払義務を定めた場合,その前段にまず100%債務確認条項を定めるはずです。債務確認条項がある場合の登記原因が債務承認であるならば,裁判上の和解による登記もすべて年月日債務承認年月日抵当権設定になってしまいます。

さらに,金銭消費貸借契約で生じた債権債務関係を改めて確認してその弁済方法を協定し,その債務を担保するために抵当権設定契約をした場合は,年月日金銭消費貸借の年月日抵当権設定になる先例があったと記憶しています。このような場合に債務承認という登記原因を使えるのは,新たな債権契約と認められるような場合のみのはずです。

同様に,売買契約による残代金の支払義務を確認してその弁済方法を協定し,その債務を担保するために抵当権設定契約をした場合,年月日売買残代金の年月日抵当権設定になると思うのですが,登記所の論理では,いずれも年月日債務承認の年月日抵当権設定になってしまい,他の先例等にも矛盾しそうです。

登記所の論拠は,登記研究(雑誌)に書いてあるからというものなので,議論して解決することは難しく,いまだに民法上の典型契約たる和解契約によって発生した債務を担保するために抵当権を設定したのに,和解契約が登記原因にならない理由がよくわかりません。

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2012-12-28 18:00  nice!(0) 

相続登記の代位申請 [不動産登記]

競売を申し立てた債権者が,所有者の相続登記を代位により申請することは,ままあることかと思います。

競売の申立てを受理するにあたり,裁判所は相続人の相続放棄等の申述の有無について照会することを求め,相続放棄等の申述がある場合はその証明書(または家裁の回答書)を,相続放棄等の申述がない場合にはその証明書(または家裁の回答書)の添付を求めているかと思います。

相続登記の代位申請をする場合は,その手続きを経て受理された裁判所の競売受理証明書を添付して代位登記を申請しますので,登記原因証明情報の一部として相続放棄等の申述の受理証明書は添付しますが,登記原因証明情報ではない相続放棄等の申述がないことの証明書の添付までは不要と考えていました。

ところが,登記所によれば昭和11年5月9日の民事局長回答で相続放棄等の申述がないことの証明書の添付を求めているので,この添付が必要とのことです。かなり古い先例ですし,この当時の競売の受理手続きが現在の裁判所の手順と同様であったかは不明であり,何ともいえない感じがありますが,注意が必要です。

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2012-10-20 18:00  nice!(0) 
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権利能力社団がする代位登記 [不動産登記]

マンションの管理組合がマンションの競売を申し立てたところ,その所有者に相続が発生していた場合,一般的には,①競売申立て⇒②代位による相続登記⇒③差押登記という流れになるのかと思います。

マンションの管理組合が管理組合法人でない,いわゆる権利能力なき社団の場合,これらの手続きはどうなるのでしょうか。権利能力なき社団たるマンション管理組合が,差押債権者として登記されている案件は何度か見たことがありますが,権利能力なき社団たるマンション管理組合が,代位者となって所有者の相続登記を申請できるのかは悩ましい問題です。

権利能力なき社団は抵当権等の担保物権の債務者として登記は可能ですが,やはり権利能力なき社団が代位申請人となることは難しいと考え,その代表者個人が申請人となって,代位による相続登記申請をすることにしました。

裁判の場合は当事者となれ,その際には,管理規約,代表者選任の議事録,訴訟授権の議事録等を添付しますが,代位登記の場合は何を添付するのか悩み,登記所に照会し,今回は次のとおり添付しました。

①相続関係を証する書面一式
②競売申立ての受理証明書
③管理組合の代表者と任期を自己証明するマンション管理組合発行の証明書
④管理規約
⑤代表者選任の集会議事録
⑥代表者の住民票
⑦今回は区分所有法59条競売だったので判決正本
⑧判決確定証明書
⑨登記申請委任状

かなり余計なものも添付し,あるいは添付を要求された感がありますが,速やかに登記が終わらないと困りますので,添付可能なものは全部添付しました。ただ,この部分は登記所によって考え方が違う可能性が大いにありますので,この情報は参考程度にしかなりません。

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2012-10-19 18:00  nice!(0) 
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相続放棄の証明書と回答書 [不動産登記]

相続登記をする際に,家庭裁判所で相続放棄の申述をして受理された相続人がいる場合,相続放棄の受理通知書ではなく,相続放棄の受理証明書の添付が必要とされています。これは,前者が本籍の記載があるし,きちんとした証明書であるのに対し,後者は本籍の記載もないし,単なるお知らせであるからだといわれています。

一方,相続放棄受理通知書は,相続放棄の申述がなされたから通知されるものであるし,登記原因証明書の一部である戸籍等の記載と併せ考えれば,通知書に本籍の記載が無くても良いと思われるので,相続放棄受理通知書を添付すれば,相続登記が受理されるのではないかという考えもあるようです(登記研究735号)。

ところで,相続放棄の申述の有無について,家庭裁判所に照会を行い,裁判所書記官からの相続放棄が受理されている旨の回答書(必要な情報は記載されている)をもって,相続放棄受理証明書に代えられないかとの疑問が生じ色々と確認しましたが,相続放棄受理証明書の代用書類にはならないようです。照会に対する回答は根拠規定の無い行政証明に近い書類であり,登記原因証明情報にはならないということが理由のようです(登記研究735号)。

言葉尻を捉えるのはいけませんが,先般,相続放棄の申述の有無について照会したところ,家庭裁判所から証明書の表題で回答がありました。証明書なのだから登記原因証明情報になのでしょうか。機会があったら試してみたいと思います。

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2012-10-18 18:00  nice!(0) 
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信託目録の記載事項変更 [不動産登記]

信託不動産の受託者(=所有権登記名義人)が住所を変更した場合,受託者(=所有権登記名義人)の住所変更登記申請をしますが,信託目録記載事項変更登記(受託者の住所変更)の申請も必要かどうか悩みました。

この点については法律に規定があり,直ぐに解決となりました(不動産登記法第101条)。

ネットで調べた範囲では,信託目録記載事項変更の登記が必要となるような記載もありましたが,信託目録の受託者の表示は,登記官の職権での登記をしてくれるため,所有権登記名義人の住所変更登記だけ申請すれば良いということになります。

職権登記は受託者の場合だけですので,委託者や受益者の場合は申請が必要です。

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2012-08-03 18:00  nice!(0) 
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