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役員重任時の氏名変更登記の省略 [会社登記]

株式会社の役員の重任登記をする際、その役員の氏名が前回の重(就)任後に変更されていた場合、今回の重任登記の前提として、氏名変更(更正)の登記が必要かの問題です。

この場合、代表取締役の住所の場合と同じく、議事録等の添付書類によって、同一人であることが確認できる場合、氏名変更(更正)登記をしないで、変更後の氏名で重任登記ができるとされています(登記研究409号)。

ところで、この登記研究が発行された当時、すべての役員が変わる場合には、申請人が登記用紙と同一の用紙に登記すべき事項を記載していました。そして、先の登記研究の取り扱いは、この登記用紙と同一の用紙を提出する場合に、この省略が認められるような記載振りですので、オンライン時代になった今、どのように取り扱うのか、やや不安な面があります。また、変更(更正)登記の省略をする場合であっても、変更(更正)を証する書面の添付が必要とする本もありますので、この点も踏まえた対応が必要です。

そして今回、議事録によって同一人であることが確認できるので、変更を証する書面は添付しないで登記申請をしてみました。今回は無事に登記は完了となりました。でも、過料の問題とかはどうするのかと思ったりもします。

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2015-06-09 16:00  nice!(0) 
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登録免許税の還付 [不動産登記]

不動産登記申請をした際に、登録免許税の計算を誤り、2万円ほど多く納付してしまいました。

この場合、過納付分は還付されるのですが、最近では代理人が簡易に還付金を受領できるようになりました。簡易にというのは、登記申請の際の委任状に「登記にかかる登録免許税の還付金の受領に関する権限」という文言があれば、還付金を受領する際に別途委任状を提出しなくても良いという意味です。

今回の登記申請書に添付した委任状には、上記の記載をしていましたので、還付申出書を提出するだけでした。

この還付申出書に押印する印鑑ですが、登記申請(登記識別情報受領)に用いている印鑑を押印するのかと思っていたのですが、どうも職印の押印が必要なようです。ただ、職印証明書は添付しませんでしたので、どのような確認が行われるのかは不明です。

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2015-06-08 16:00  nice!(0) 
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登記の際の通称名の使用 [不動産登記]

外国籍の方が日本において通称名を使用することがあります。

登記の際、本国名での登記はもちろん可能ですが、外国人住民票等に通称名が記載されている場合、その通称名で登記することも古い先例で認められています。

一般に、通称名を使用している方は、日本において通称名のみを使用する前提の筈ですので、登記の際には注意が必要で、どちらの名前で登記をするかの確認は欠かせません。

ところで、先般、通称名での登記を希望された方の所有権移転登記と抵当権設定登記を行いました。このため、もちろん通称名で登記をしたところ、抵当権を設定した金融機関から、本国名で登記をしないのはどうしてかとの問い合わせがありました。

上述しましたとおり、通称名を使用する方は、日本国内においては通称名のみを用いて生活することを希望しているものと考えられ、かつ、本人が通称名の使用を希望し、さらに、通称名での登記も認められていますので、当然に通称名で登記をした訳ですが、この金融機関の担当者は、抵当権設定の表記については金融機関の意向が優先されると主張していました。

驚くべき考えです。金を貸すのだから、何でもいうことを聞けという発想です。金融機関はこのような発想をする人が多いように思います。

通称名を使用しての生活を希望しているのに、お金を借りて抵当権を設定してしまったばかりに、本国名の使用を金融機関に強要され、債務者欄の登記によって日本国籍を有しないことを社会に暴露された、などということがあったならば大変な問題です。

通称名での登記が違法であるならばともかく、登記実務上は認められているのですから、抵当権の登記においても、やはり債務者の人格権を尊重し、債務者の意向で選択すべきです(違法でないのですから、金融機関の意向を考慮する必要はないと思います)。

今般、会社の社長が通称名を使用している従業員に対し、本国名の使用を強要した案件で、静岡地裁が社長に対する損害賠償を認める判決をしたたようです。

金融機関のあの担当者には、静岡地裁のこのニュースを見て何と思うでしょうか。何も感じない、気づかないのかも知れません。

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2015-04-24 18:00  nice!(0) 
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ゆうちょ銀行に会社の出資金を払い込む [会社登記]

会社設立時の出資金をゆうちょ銀行に払い込むことは可能か否か、いつも心配になるので、備忘録を兼ねて整理します。

会社法第34条第2項では、出資金の払い込みは発起人が決めた銀行や信託会社にするとしています。銀行については、同条により、銀行法第2条第1項に規定した銀行とされていますので、会社法にいう銀行は、銀行法第4条第1項の内閣総理大臣の免許を受けた銀行ということです。

ところで、ゆうちょ銀行は、郵政民営化法第98条第1項により、銀行法第4条1項の内閣総理大臣の免許を受けたものとみなすとされていますので、会社法のいう銀行ということになります。

このため、ゆうちょ銀行に出資金を払い込めば、会社の設立は可能ということです。

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2015-04-20 18:00  nice!(0) 
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一時取締役登記の抹消 [会社登記]

一人取締役の株式会社の場合、その取締役が死亡した場合、株主総会を招集する人がいなくなってしまいます。

株主が全員出席して株主総会を開催できれば良いのですが、これができない場合、一時取締役を裁判所に選任してもらうほかありません。

一時取締役は、取締役と同様の権限がありますので、株主総会を招集することができます。

一時取締役及び一時代表取締役選任の登記は、裁判所書記官の嘱託でなされますが、抹消の登記はどうするのか、よく分かりませんでした。

色々調べていましたら、商業登記規則第68条第1項に規定がありました。後任者の就任登記をする際に、登記官が抹消の記録をするとのことです。いわゆる職権抹消です。

従いまして、従前の取締役及び代表取締役の死亡の登記、選任した取締役及び代表取締役の就任の登記をするだけで良いということです。実際、これで問題なく登記は完了しました。

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2015-04-10 10:36  nice!(0) 
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法務局での確定日付付与 [裁判事務]

私署証書に確定日付の付与を求めたい場合,一般的には公証人役場に行くかと思いますが,確定日付は法務局でも付与を受けられます。理屈では知っていましたが,実際に法務局に確定日付の付与申請をしたことはありませんでした。

そこで,毎日のように法務局に通っている訳ですから,一度,法務局に確定日付の付与を求めてみることにしました。

法務局には,確定日付の付与を求める私署証書と申請書を持参します。手数料700円は収入印紙で納付です。

確定日付付与申請書(例)
1 証書の日付及び名称 
  平成25年5月10日付準消費貸借契約書
1 当事者
  住所(債権者住所)
  氏名(債権者氏名)
  住所(債務者住所)
  氏名(債務者氏名)
1 手数料
  700円
上記のとおり交付を申請します。
平成25年5月10日
相模原市中央区横山三丁目17番2号
申請人 司法書士 井口 学
横浜地方法務局相模原支局 御中

少し時間がかかりますが,公証人役場より法務局が近い場合には便利かと思います。特に,司法書士は,いつも通う場所ですので,多少の時間がかかっても問題ないかと思います。

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2013-05-10 18:00  nice!(0) 
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和解契約による抵当権設定 [不動産登記]

民法の典型契約である和解契約で合意した債権を担保するために,同和解契約において抵当権設定の約定をした場合の登記原因はどうなるのか考えていました。

債権の発生原因は和解契約ですので,年月日和解契約の年月日抵当権設定になるとして登記申請をしました。ところが,登記所からは,和解契約の中に債務承認条項がある場合は,年月日債務承認の年月日抵当権設定となる旨の指摘がありました。

和解契約の中では,紛争解決のために金銭の支払いが合意される場合があります。金銭の支払い債務を合意する場合,和解書の中に①和解金や解決金の支払い債務の確認条項,②①の債務の支払い方法を定める給付条項を作ることが一般的です。

登記所のいうように,和解契約の中に債務確認条項がある場合,登記原因として和解契約とい文言が使えないならば,抵当権設定の被担保債権で「和解契約」という文言を使う場面はまず登場しなくなります。

これが裁判上の和解であったらどうでしょう。和解調書の和解条項の中に金銭の支払義務を定めた場合,その前段にまず100%債務確認条項を定めるはずです。債務確認条項がある場合の登記原因が債務承認であるならば,裁判上の和解による登記もすべて年月日債務承認年月日抵当権設定になってしまいます。

さらに,金銭消費貸借契約で生じた債権債務関係を改めて確認してその弁済方法を協定し,その債務を担保するために抵当権設定契約をした場合は,年月日金銭消費貸借の年月日抵当権設定になる先例があったと記憶しています。このような場合に債務承認という登記原因を使えるのは,新たな債権契約と認められるような場合のみのはずです。

同様に,売買契約による残代金の支払義務を確認してその弁済方法を協定し,その債務を担保するために抵当権設定契約をした場合,年月日売買残代金の年月日抵当権設定になると思うのですが,登記所の論理では,いずれも年月日債務承認の年月日抵当権設定になってしまい,他の先例等にも矛盾しそうです。

登記所の論拠は,登記研究(雑誌)に書いてあるからというものなので,議論して解決することは難しく,いまだに民法上の典型契約たる和解契約によって発生した債務を担保するために抵当権を設定したのに,和解契約が登記原因にならない理由がよくわかりません。

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2012-12-28 18:00  nice!(0) 

無理に和解を求める金融業者 [裁判事務]

過払金の返還を請求すると,金融業者は減額を求めてきます。減額に応じない訳ではありませんが,理由も示さず「うちは元金が和解のベースになる」と強弁する業者が多く閉口します。

このような会社に対しては,お金を借りた後に「私は利息は支払わない主義だから,元金のみ返済します!」といってみたいものです。

今朝も過払金の返還を請求した業者から電話がありました。当方から提案した和解案は一顧だにせず,元本から大幅に減額をした金額を提示してきました。この業者も「当社の和解は元金が基準で,そこから減額になります!」と意味不明なことを断言し,当方提示の和解案と大きく異なる提案をしましたので,私は「和解の話し合いをしない訳ではなけれども,訴訟の手続きを進めながら考えたい」と返事をしました。

ところが,この業者,なかなか電話を切りません。元金ベースが前提なら話しをしても意味がないと説明しても,どうしても理解ができないようです。
挙句の果てに,業者の決まり文句である「ほかの事務所は,元金ベースで和解に応じている!」と強弁し,誹謗中傷を始める始末で,和解交渉能力の低さに愕然とするばかりです。

他の事務所は・・・なんていわれれば,こちらは「他の業者は満額返還している!」と切り返すことになりますので,和解担当者が口にする話しではありません。大人がする仕事でこのレベルとは困ったものです。

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2012-10-29 18:00  nice!(0) 
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アイフル控訴審対応の一例 [裁判事務]

アイフルに対し裁判で過払金を請求する場合,過払金の返還請求額を多少の減額してもアイフルは承諾しませんので,ほとんどのケースは判決になるかと思います。その後,アイフルは控訴しますので,過払金請求の裁判は地方裁判所に控訴審が係属します。

司法書士が第1審の訴訟代理となった場合,司法書士は控訴審の訴訟代理人となれませんので,控訴審ではいわゆる本人訴訟となります。ただ,特に控訴審で主張することがない場合には裁判の期日に出頭しないことが多いようですから,そのまま控訴審判決となるようです。

しかし,アイフルは,どうしても和解期日を入れるよう求め,控訴審の裁判に本人の出頭を求めることで揺さぶり,アイフルに有利な和解をしようとしているように思えます。第1回目の弁論期日後に和解期日の呼出状が届くと,裁判に行かなければならないのかと誤解し,本人は相応に動揺してしまいます。

このような場合,私は,受諾和解の手続きの利用をアドバイスします。控訴裁判所に対し上申書を提出し,和解期日には出頭できないけれども,こちらは××万円の返還であれば和解できる(この和解案は可能な限りの譲歩案とします)ので,アイフルが受諾するのであれば受諾和解の手続きを進めて欲しい・・と申し立てます。これによって,当方の和解案を飲むか否かの選択はアイフル次第となります(受諾しなければ判決となるだけです)。

もちろん,ほかにも良い方法があるとは思いますが,この受諾和解の提案は,控訴審を全く無視することなく,出来る限りの誠意ある対応を行い,かつ,自らの権利を必要以上に失うこともなくなるのではと考えています。

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2012-10-26 18:00  nice!(0) 
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相続登記の代位申請 [不動産登記]

競売を申し立てた債権者が,所有者の相続登記を代位により申請することは,ままあることかと思います。

競売の申立てを受理するにあたり,裁判所は相続人の相続放棄等の申述の有無について照会することを求め,相続放棄等の申述がある場合はその証明書(または家裁の回答書)を,相続放棄等の申述がない場合にはその証明書(または家裁の回答書)の添付を求めているかと思います。

相続登記の代位申請をする場合は,その手続きを経て受理された裁判所の競売受理証明書を添付して代位登記を申請しますので,登記原因証明情報の一部として相続放棄等の申述の受理証明書は添付しますが,登記原因証明情報ではない相続放棄等の申述がないことの証明書の添付までは不要と考えていました。

ところが,登記所によれば昭和11年5月9日の民事局長回答で相続放棄等の申述がないことの証明書の添付を求めているので,この添付が必要とのことです。かなり古い先例ですし,この当時の競売の受理手続きが現在の裁判所の手順と同様であったかは不明であり,何ともいえない感じがありますが,注意が必要です。

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2012-10-20 18:00  nice!(0) 
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